17-0404 (富士西麓)長者ヶ岳 山行記

 

<プロローグ>

 

東京「明治の森高尾国定公園」から歩きつないでいる東海自然歩道の静岡県コースの2回目「長者ヶ岳コース」を歩く。

“出来るだけ安く日帰りで”がポリシーの“てくてく歩き”、今回は格安の青春18キップを調達出来ず、JRジパング倶楽部の3割引を利用しての計画である。

朝4時30分自宅出発し、東海道線富士駅から身延線に乗り換えて富士宮駅で下車。そしてバスで前に歩いたコース(17-0216朝霧高原)でのゴールである富士西麓の田貫湖畔「休暇村富士」に午前10時に到着。

何と自宅を出て5時間半でようやく歩き始める。やっぱり日帰りでの静岡は遠い  !!

 

<田貫湖から長者ヶ岳へ>

 

休暇村富士から田貫湖畔周回サイクリングロードに出て、先ずは“逆さ富士”と“ダイアモンド富士”のビューポイントデッキから絶景の絶景を眺め、そしてリゾート客が釣り・ウオーキング・サイクリングを楽しんでいる湖畔道を1/3周し、北側DAYキャンプサイトまで電車とバスの長旅に足慣らしの観光。

1030分、キャンプサイト横の長者ヶ岳登山口から樹林帯の中を上り、11時に稜線登山道に出る。そこではもう下山してきたハイカーに出合い、話を聞くと8時から登り始めたとのことで3時間位でのコースタイムのようだ。

穏やかな歩きやすい登山道を展望所や若葉前の木々のスリット越しの富士、田貫湖、毛無山などの眺めを楽しみながらの楽チン歩きだ。

標高1,000mあたりまで登ってきたら登山道には残雪が、ヤバイ?この日、朝出発前にバッグから軽アイゼンは不要だろうと持参してない。凍結していて滑るようであれば、そこで引き返すまでだ。幸い頂上まで何の支障も無く1124分に山頂到着。頂上で天子岳からピストンで戻ってきたアイゼン装着の2人組は“アイゼン無しで全然問題ないです!!”と聞き一安心。

長者ヶ岳頂上では東に山腹にまだ殆ど雲が出ていない富士と大沢崩れ、そして眼下に田貫湖、北に長者ヶ岳から毛無山~雨ヶ岳~竜ヶ岳と続く山々と奥に南アルプスの絶景を昼食をとりながら楽しんだ。

 

<長者ヶ岳から上佐野へ>

 

積雪のなだらかな道を下る。天子ヶ岳から長者ヶ岳に戻ってくるハイカーからは“いってらっしゃい”と声をかけられ、上佐野方面に向かう人は殆んどいないようだ。

 

1320分、天子ヶ岳手前の上佐野分岐に到着。計画ではここから20分の天子ヶ岳にピストンで登り上佐野に向かう予定であったが、上佐野でのバス時間に余裕を持とうと今回は天子ヶ岳をスキップすることに変更。

その分岐点から上佐野に向かう深ぁ~い急斜面とルートをみてビックリ!! 

 

 45度はありそうな急斜面に積雪で踏み跡は見えないが、しかしテープをグルグルと何段にも巻きつけた樹木が飛び飛びに見える。

“これを目印に歩けば良いのだな“ と、奈落の底に下りてゆくように目印の樹木を順番に辿りながら標高を下げていく。

 掴んだり足を支える岩など近くに無く立って歩けない急斜面では両足を前に出し尻を地に降ろし滑り台の如く滑りおりること十数回も繰り返し、目印のテープを巻いた樹木があっちこっちに続いていて道迷いで違った方角に進んで引き返したりしながら、最後は岩だらけの谷底を下ってようやく堰堤とそこへの取り付け林道に出た。

 上佐野分岐を通過して約3時間半、距離にして僅か2,300m、標高差387mを無事下ることができた。この急斜面を下りる段階で携帯GPSに入れていた計画ルートから外れているのは判っていて、日没前に人里まで辿り着けるか不安もあって、思わず ”バンザイ!!“と大きく叫んだ。

そしてGPSの地図でこの林道を谷川沿いに下ってゆけば約4kmでゴール予定地の上佐野に出ることが判る。しかしあと10分で最終バスの時間、そして日没ももう直ぐだ。そこから鉄道の駅まで山里の中の道14kmをどうするか?? 上佐野の集落に出れば何とかなるだろうと気楽に考えながら林道の道を駆け足で急ぐ。

 

1730分、静かな茶畑が広がる山里の上佐野集落に到着するも最終バスから30分遅れ。ポツンポツンと佇む住まいをみても人が住んでいる気配が見えない。ようやく一軒のお家の庭に乗用車を見つけて声を掛けて話を聞くと、「若者は山奥から出ていってしまい殆ど住んでいる人はいなく、自分は家の様子を見にちょっと帰ってきたところ。向かいのお家のお婆ちゃんにタクシーのことなど尋ねたらいいよ」と教えてもらい、そこで40分程離れた南部町内船からタクシーを呼んでもらった。

 

 

 お婆ちゃんのお家でお茶とお茶菓子を頂き、話を聞きながらタクシーの到着を待つ。「旦那は亡くなり今は独り暮らし、茶畑も今はやっていない、子供たちは近くの富士宮で生活していて月に2度ほど様子を見に帰ってくる、ここを出て町で暮らそうとは思わない.....」と。

 1830分、到着したタクシーで上佐野から、山歩き好きの運転手から次に続く予定の東海自然歩道<静岡>「田代峠、興津川コース」の情報を聞きながら、暗くなった天子湖湖畔、佐野川渓流沿いを身延線井出駅に向かう。 計画したバスだと200円のところがタクシー利用で5,860円と、自分のてくてく歩きポリシーから大きく外れてしまったが、良しとしなきゃ。

 

井出駅1925分発の電車で富士駅を経由し2330分に自宅に計画より30分遅れで帰りついた。朝4時半からの長ぁ~い19時間の1日であった。

 

<エピローグ>

 

結果オーライの反省点も多々あるが、計画ルートをダウンロードした携帯GPSでの地図と自分の位置情報でパニックになることも無く、記憶に残るいろんな体験が出来た充実した“てくてく歩き”であった。

次の東海自然歩道<静岡>は第3弾として井出駅から続く「田代峠、興津川コース」に奥山温泉での一泊を入れて計画しよう。

 

また、東海自然歩道として環境庁と静岡県が整備しているこのコースで、どこで、どうしてルートを外したのか合点がゆかず、チャンスをみつけて次は逆ルートで歩き検証してみたい。